クリムゾンフレイヤ
「フー、まっいいわ。じゃ、間違えても文句言うんじゃないわよ?」
「……わーったよ」
珍しくそんなに突っ掛かりもせず、スカーレットは腕を組む。
グラガは仕方なくそれに賛同すると、手を腰に当てて彼女に付いていく。
「お前さ、意外に物事を考えないタイプだろ?」
「なんでよ?」
五つある道から、面倒なのか真っ直ぐの道を選んだスカーレットに、グラガが眉をひそめた。
「わざわざ真っ直ぐの道を選ぶかよ?」
「あの爺さんが地図に真っ直ぐって書いたんだから、それに従ったまでよ。それに──」
と、スカーレットは言葉を一度止め、グラガに微笑して続ける。
「間違ってたらあの爺さんのせいに出来るし? 間違ってたらまた請求出来るかもだし」
これくらいのことで、金貸を出してくれると考えているのか……。
(まったくスゲェ女だよ)
何度目の後悔か。
本当にこの女で良かったのかと思うと、グラガは泣けてくるのだった。
そんな心境も知らず、スカーレットはやらしく笑みを浮かべている。
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