クリムゾンフレイヤ
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しばらく沈黙のまま歩いてから数時間。
一向に町や村の姿を見せないことに、スカーレットは苛立ちを見せていた。
獣道になりつつある森に囲まれた場所に、ソワソワするグラガ。
「なぁ、道、戻った方がいいんじゃねぇか?」
「うるさいわねー。もしかしたら、他の道に繋がってるかもしれないでしょ?」
しきりに辺りを見回しながら、そう警告するグラガを無視し、スカーレットは突き進んでいく。
昼辺りに出発したせいか、もう地は日を飲み込もうとしていた。
「……なぁ、やべぇって。戻らないにしても、この辺で野宿の準備した方がいいって」
「むぅ……」
夜になると、さすがにモンスターや野盗が増えはじめてしまう。
それを理解したスカーレットは、グラガの言う通り野宿の準備をすることにした。
「天よ、地よ。我に力を貸したまえ──フィールドバリアー」
流れていた細い小さな川がある、少々広々とした空間に、スカーレットは結界呪文を唱えた。
これでモンスターは容易に入っては来られない。
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