クリムゾンフレイヤ

そこで大きく腕を振り上げたモンスターは、グラガの顔面目がけて振り下ろされる。


「錬成! 『海士─アマト─』」


助けが必要かと思ったその時、ようやく落ち着きを取り戻したグラガは、魔力を集中させて足元の土を蹴った。

その瞬間、スカーレットは驚きのあまり目を見開いてしまった。


「なによ……これ」


グラガが足元の土を蹴ったと同時に、青年を含めた辺り一体の地面が、突如ドロドロに変わっていったのだ。

結界を張っていようが、そんなものはお構い無しに、スカーレットがいる地面にも侵食していく。


「『海士』は周りに水がなけりゃ使えねぇ中級錬成魔法だ。そのままだと、飲み込まれるぞ〜」


仕返しと言わんばかりに、グラガは片手に風の剣を錬成し、スカーレットに笑い掛ける。

それがまた憎たらしい笑い方だが、そんなことを怒っている暇はなかった。


「ちょっ!? 沈むっ……!」

「当たり前だ。『海士』に入ったってことは、底無し沼に入ったも同然だからな」


徐々に足が沈んでいく中、スカーレットはグラガの説明を聞き、その姿をみた。



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