クリムゾンフレイヤ

もちろん、スカーレットの全身は水浸しだが、火は消え氷も溶け、足も泥から抜けることが出来た。


「何で──アンタはそうバカなのよ!? わざわざ水をぶつけなくても、アタシが川に入ればよかっただけなのに!」

「そ、そう怒るなよ。すまねぇ」


『魔水』の能力は、相手の魔力を限りなく吸い取り地面、もしくは水に戻して再び使う魔法錬成。


と、いうことは、今のスカーレットに魔力はほとんど残されていない状況という訳で……。

グラガは反省した。

そこに川があったことは知っていたのに、頭がそこまで回らなかったのだ。


(ただ助けたかっただけなのにな……)


などと、口が裂けても言えないだろう。

現に、この事態を招いたのは全てグラガのせいで──?


(待てよ、全ての元凶はあいつが俺を突き飛ばして、危険な目に遭わせたからじゃねぇか?)


うん。きっとそうだ。

そうに違いない。


そうと決まれば、謝る必要もないではないか。


「謝る必要はあるわよ! このバカ!」

「な、何で心が読めたんだよ!?」

「アンタ……ホントにバカね? 声に出てたわよ」


スカーレットの呆れ口調に、グラガは恥ずかしながら苦笑して誤魔化した。




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