クリムゾンフレイヤ
「で……あの熊は? 沈んでないわよね?」
底無し沼になってしまったのを、モンスターを沈まないように地面を凍り付けにしたのだが……。
スカーレットの目に映ったのは、半分沈みかけて、燃え尽きたモンスターの姿だった。
「これ、処理したらちゃんと食べられるかしら?」
「た、食べるのかよ? これを……」
スカーレットのびっくり発言に、グラガは驚くよりも呆れてしまった。
いや、こうでもしないと食料を確保出来ないのだから、仕方ないのだが。
「処理と料理はアタシがやるから、アンタは川から水汲んで、火を起こして!」
「まだ俺に働かせるのかよ……」
「動かなくてもいいけど、あげないわよ?」
……それは一番困ることだと知って、スカーレットは意地悪をするように微笑して見せる。
その微笑がまた可愛いらしいから、グラガは息が詰まって何も言えない。
(クソッ……絶対に認めさせてやる!)
などと胸の内で決心しながら、グラガは黙って頷き錬成術を使い始める。
その行動に納得したスカーレットも、濡れたマントを畳み、剣を抜いた──。
.