クリムゾンフレイヤ
「あれ? 寝ないの?」
身体を起こしたことに疑問符を頭に付けるスカーレット。
「後で寝るから、おまえ先に寝ろよ。そのうち髪燃やしちまうぞ?」
対してグラガは座りながら伸びをして、少女に眠るように促す。
それをようやく頭が理解したのか、スカーレットは素直に一度頷くと、自分のマントを枕にして寝転がった。
(やっぱ寝たかったんじゃねぇーか)
先程まで襲われるやなんだと言っていたクセに……何とも調子のいいことだ。
確かに、まだわがままを言いたい青春真っ盛りの少女だ。
グラガだって、何年か前まではそうだった。
だが、
(ただ単に調子がいいだけか、俺が舐められてるだけか。それとも……)
そこまで考えたとき、グラガはハッとした。
「チッ……いつの間に」
考え事をしていたせいか、結界を張っているこの場所を中心に、何人かが囲むようにいる。
気配を消してはいるが、殺気がまるで隠せていないのがバカだ。
「おぃっ……て、もう寝ちまったのかよ」
スカーレットを起こそうと手を伸ばしたグラガだったが、あまりにも寝心地のいい寝顔に、手を引っ込めてしまった。
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