クリムゾンフレイヤ

「おい! おまえらも来い」

(掛かったな……!)


男が仲間を呼び、その仲間たちが素早く結界の傍まで来た瞬間、グラガは唱えた。


「『魔水』からの『夜風─ヤフウ─』!」


川の水を利用し、まずは仲間を含めた三人の魔力を抜く。

次に、風に夜の魔力を加え、三人の男たちを切り刻む。

夜風は別名『鎌鼬─カマイタチ─』


ゆえに、相手を切り刻むためだけの錬成魔術。


「錬成魔術とはっ! 何処からだ!?」

「あの女は魔法剣士だったはずです! ですから──」


身体を切り刻まれながら、男の言葉に仲間が指を差す。

もちろん、眠るフリをしたグラガをだ。


「チクショウ……おまえら! 結界を破れ!! 先になぶり殺してやる!」

「承知!!」


男の突然な命令にも関わらず、仲間たちは数を増やし、結界の周りを取り囲んだ。

さすがにヤバイ。

そう感じたグラガは、急いで風に魔力を加え、錬成魔術を発動した。


「『風界─フウカイ─』!!」


奇妙な術を唱える中、グラガは素早く魔術を唱えて、スカーレットが張った結界に二重結界を張る。

少女の結界には遠く及ばないが、少しの間なら持つだろ──、


『バリン!!』


……一瞬で破られてしまった。

って、俺の魔術マジで弱いよ……泣けてくる。




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