クリムゾンフレイヤ
「おい! この結界、この男が張ったものじゃないのか!?」
「なかなか破れません……。上級魔術の結界です!」
リーダーらしき偉そうな男が、グラガを睨み付けて悔しがる中。
術式破りに必死な周りの仲間たちは、静電気にも似た痛みに脱落者が続出していた。
「こいつ、ホントに強いんだな……。なんか腹立つ」
魔術が特化した者と、そうでない者がいるのは理解しているつもりだ。
だが、スカーレットは魔術に特化し過ぎている。
それがまたグラガが悔くて、羨ましくて……。
「もういい! オレが打ち破ってやる!!」
「えっ!? ちょっ……それなら先にお前がやれよ!」
いやいや、ツッコミ入れている場合かよ!
……と、グラガは首を横に振って、その瞬間に見た男の行動に驚いた。
──魔弾だ。
自らの魔力を拳銃型の武器に込め、その力を利用して銃弾を打ち込む特殊な魔術。
グラガの錬成魔術によく似た魔法の一種だが、魔弾は相当な魔力を使うためランクは上だ。
「たかが盗賊が魔弾なんて使えるかよ!? 何者だ?」
グラガの疑問に、結界の外にいる魔弾を構える男は無視して、銃口を結界に向けた。
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