クリムゾンフレイヤ

「おい! この結界、この男が張ったものじゃないのか!?」

「なかなか破れません……。上級魔術の結界です!」


リーダーらしき偉そうな男が、グラガを睨み付けて悔しがる中。

術式破りに必死な周りの仲間たちは、静電気にも似た痛みに脱落者が続出していた。


「こいつ、ホントに強いんだな……。なんか腹立つ」


魔術が特化した者と、そうでない者がいるのは理解しているつもりだ。

だが、スカーレットは魔術に特化し過ぎている。

それがまたグラガが悔くて、羨ましくて……。


「もういい! オレが打ち破ってやる!!」

「えっ!? ちょっ……それなら先にお前がやれよ!」


いやいや、ツッコミ入れている場合かよ!

……と、グラガは首を横に振って、その瞬間に見た男の行動に驚いた。


──魔弾だ。

自らの魔力を拳銃型の武器に込め、その力を利用して銃弾を打ち込む特殊な魔術。

グラガの錬成魔術によく似た魔法の一種だが、魔弾は相当な魔力を使うためランクは上だ。


「たかが盗賊が魔弾なんて使えるかよ!? 何者だ?」


グラガの疑問に、結界の外にいる魔弾を構える男は無視して、銃口を結界に向けた。




< 54 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop