クリムゾンフレイヤ

「無視かよ! って、ちょっと待てよ! タンマ!!」


魔弾に力を注入していく男に対し、グラガは錬成魔術をする暇もなく、焦るばかりで地団駄していた。

その焦りにいやらしく笑った男は、魔弾を打ち込もうと引き金に指を当てる。

と、不意に男の顔が険しくなり、何を見ているのか、身体を震えだすことに、グラガは首を傾げた。


「人がせっかく気持ち良く寝てたってのに……」

「……っ!?」


結界の中で──グラガの後ろで突然ユラリと起き上がったスカーレットに、男とその仲間、青年までもが恐怖で肩を震わせた。


「おまっ!? ようやく起きたのかよ、早くあいつらを──グホッ!」


グラガの安心も束の間、スカーレットの右ストレートが青年の顔を捉え、綺麗に結界を飛び出して飛んで行った。

もちろん着地は失敗し、頭から後転してしまったグラガは、術式をしていた仲間たちの前で止まった。


「な、んで……俺が……」


スカーレットは手の埃を払うように叩き、グラガの言葉を無視して剣を抜く。


「今アタシは猛烈にイライラしてるのよ。だから……」




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