クリムゾンフレイヤ

スカーレットの圧力という名のプレッシャーが、盗賊たちの足を竦ませる。


「だからね……殺されても、文句は言わないよね!」

「な、何だよ!?」


魔力が膨大に膨れ上がり、スカーレットの剣が魔力を纏い、手の平を前に出して……、

恐ろしいほど悪魔のような笑みを浮かべて、目の色を変えた。


「お、おぃ。俺まで巻き込むつもりじゃ……ねぇよな?」


頭だけ起き上がり、スカーレットから魔力の糸を間近で確認出来る距離で、グラガは苦笑いした。

が、スカーレットは気にせず手の平に魔力の塊を出現させて笑った。


「何言ってるの? アタシはアンタに一番怒ってるのよ! 盗賊は二の次。だから、死にたくないなら逃げなさい」


手の平に置いた魔力を増幅させ、グラガを一瞥したスカーレット。

その目には、グラガは映っていないように見えた。

盗賊の数を確認し、意外にも奥に隠した冷静さで、少女は剣を縦に構える。


「Helm,Alud,Gains,Brs!」


魔方陣か、詠唱を唱えはじめ、スカーレットの瞳が変わった。

少女の瞳に盗賊たちも怯え、散りじりに素早く逃げて行くが、間に合わない。




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