クリムゾンフレイヤ
「Dead end」
少女の呟きと同時に、手の平に集まっていた魔力は勢いよく収縮し、闇色に輝いた。
瞬間、闇色の魔力は細く長い槍に姿を変え、逃げていく盗賊たちの肩や足を狙って貫いていく。
「風壁─フウカイ─!?」
もちろん、その槍は例外なくグラガさえも襲い掛かり、青年は咄嗟に風を守りに変えて逃げる。
が、何処までも追ってくる。
「ごめん。マジで逃げてね〜」
「全然心がこもってねぇぞ! って、こっち来んなー!!」
誠意も何もない棒読みのスカーレットに、グラガは泣きながら全力で走り回る。
その姿を見て笑っていたスカーレットだが、尻餅をついて槍を弾き返している人物に気付き……。
「アンタが主犯ね?」
と、ゆっくり歩み寄って魔力を再び高めていく。
「き、貴様! スカーレット=ノヴァだな!?」
「そーだけど……先にアタシの質問に答えて欲しいなぁ」
魔弾の拳銃を向けてくる男に対し、後退ることなくスカーレットは腰に手を当てて苦笑する。
その様子をグラガは遠目で伺いながら、槍から逃げる。
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