クリムゾンフレイヤ

「夫婦漫才なんてしてんじゃねぇ……俺はまだ生きてるぜ?」


服の土埃を払い、口の端から流れる血を拭いながら、アスモンは立ち上がった。

その手にはしっかりと魔弾を装填した拳銃が握られ、銃口はスカーレットを狙っている。


「しぶといわね……」


同じく、スカーレットの構えた剣に魔力を帯びさせ、グラガは感心した。


「あいつスゲェな。知らぬが仏だが、知らな過ぎるのもまた怖ぇ……」

「アンタねぇ、感心するところズレてない?」


ボケる(本人至って真面目)グラガをツッコむスカーレット。

その様子を見て、アスモンは舌を打った。


「せっかくいい儲け話を貰って走ってる最中なんだ……。大人しく殺られろよ!」

「奇遇ね。こっちもいい儲け話で走ってる最中よ。だから──」


アスモンの愚痴にスカーレットは微笑し、それが合図のように、二人は脱兎の如く地を蹴った。


「手加減しないわよ!」

「望むところだ! スカーレット=ノヴァ!!」


拳銃に湾刀と、一銃一刀のアスモンに対し、スカーレットも負けじと剣振り回す。

右に振られた湾刀を躱し、左に撃たれた魔弾を剣で弾き返す。




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