クリムゾンフレイヤ

「あぁ、もう! 逃げられた」


炎の魔力が段々と大きくなるなか、スカーレットは溜め息をついて悩んだ。


「それよりさ。お前、その溜めた魔力どうする気だよ?」


スカーレットが悩んでいた理由をズバッと示したグラガに、少女は「う〜ん」と唸った。


「手加減してあげるから、食らわない?」

「誰が好き好んで魔法を食らうかよ。自分にでも当てとけ」


ビックリ発言をするスカーレットに、もう呆れるのも疲れてきたグラガは、溜め息をついて肩を落とした。


「あぁ、もう……仕方ないわね」


面倒そうにスカーレットは呟くと、急ぎ足で流れの緩やかな川へと向かった。

何をするつもりかと、不安ながらも見学していたグラガは、次の瞬間驚愕していた。


「魔界の門開かれたし! 以下省略……サタンフレイム!!」


詠唱破棄での中級魔術である、蒼い炎を手の平から一気に吐き出すと、川の水は蒸発するように干からびていく。


「ちょっ!? お前何やってんだよ! 水!」


何が言いたいのか分からないグラガは、自分で首を傾げてスカーレットの元まで取り敢えず走った。




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