クリムゾンフレイヤ

「だって、炎魔術だから木がある所にぶっ放す訳にもいかないし……。まっ、どうにかなるでしょ?」

「どうにもならなきゃいいけどな……」


呑気なスカーレットに対し、グラガは肩を落として何度目かの溜め息を吐く。



その時、始めてスカーレットはあることに気付いた。

夜空に星が瞬いており、眠る頃には一面明るく見えていた景色が、いつの間にか闇色の曇天に変わっていたことに……。


(嫌な空気……。もう動き出すとか、ないわよね?)


頭を抱えるグラガの横で、スカーレットは静かな──そして不気味な風を浴びながら、遠い空を眺めていた……。





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