クリムゾンフレイヤ
Chapter3;港町からの刺客?
水の都《マルヴィ》
多くの魔術士が住む、自然に囲まれた豊かな土地に位置した街。
朝方は美しい鳥たちの囀りが聞こえ、昼には虹が架かるという伝説を持つ街。
そして夕暮れ。
沈まり掛けた太陽に当てられた教会は、街全体を明るくするほどの光だそうで……。
「今何時よ?」
「もうすぐ夜の6時だ」
額に手を当てて光を鬱陶しそうに俯くスカーレットの疑問に、グラガは教会に飾られた時計を目にして答えた。
「なんでこんなに明るいのよ……。ここは魔術士が多く住む街でしょ?」
「あぁ……。そう聞いたんだけどなぁ」
スカーレットとグラガは、唖然として街の入り口で立ち尽くしていた。
確かに、魔術士とは闇に身を置き、つねに上級魔術や召喚魔術──さらには禁忌である人間の復活などを、主に専門としている。
それなのに、もうすぐ夜になろうとしているこの街は、明かるすぎる。
「魔術士って言っても、もしや神父とかの方が多いとか?」
「まぁ、神父も魔術使えるっちゃ使えるしな」
頭を悩ますスカーレットの沸き立つ数々の疑問に対し、グラガは面倒になってきたため適当に答える。
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