クリムゾンフレイヤ
「貴方が魔王の討伐依頼を受けたって話を聞いたから、わざわざ足を運んだのよ?」
「何で知って──もしかして、アンタの爺さんが雇ったもう一人の傭兵って……」
フレイヤの話を聞いて嫌な予感がしたスカーレットは、きごちなくグラガの方へ顔を向ける。
当然青年は「この人だろうな」と、あっさり答えた。
「何でよりによってアンタがライバルなのよ〜」
「大丈夫よ。私は貴方と一緒に行くから。あぁ、もちろん討伐報酬の分け前は7;3ね」
「あり得ない! どうせ自分が7持っていくんでしょーが!」
「当たり前じゃない。私の方が実力は上だもの」
まるで漫才のような光景を目にしているグラガは、大きな溜め息をついて腹の音を鳴らした。
すでに手紙を渡してきた青年は帰っており、時刻も6時30分を回っている。
「スカーレット〜。宿でも飯屋でもいいから早く行こうぜ?」
と、提案をするグラガだったが、全く聞く耳を持たず喧嘩を始めた。
取っ組み合いでは事足りず、二人の喧嘩はヒートアップしていく。
(マジで……これどうするよ?)
魔法詠唱まで聞こえてくる中。
グラガは尻餅をつき、黙って収まるのを見守るしかなかった──。
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