クリムゾンフレイヤ

「貴方が魔王の討伐依頼を受けたって話を聞いたから、わざわざ足を運んだのよ?」

「何で知って──もしかして、アンタの爺さんが雇ったもう一人の傭兵って……」


フレイヤの話を聞いて嫌な予感がしたスカーレットは、きごちなくグラガの方へ顔を向ける。

当然青年は「この人だろうな」と、あっさり答えた。


「何でよりによってアンタがライバルなのよ〜」

「大丈夫よ。私は貴方と一緒に行くから。あぁ、もちろん討伐報酬の分け前は7;3ね」

「あり得ない! どうせ自分が7持っていくんでしょーが!」

「当たり前じゃない。私の方が実力は上だもの」


まるで漫才のような光景を目にしているグラガは、大きな溜め息をついて腹の音を鳴らした。

すでに手紙を渡してきた青年は帰っており、時刻も6時30分を回っている。


「スカーレット〜。宿でも飯屋でもいいから早く行こうぜ?」


と、提案をするグラガだったが、全く聞く耳を持たず喧嘩を始めた。

取っ組み合いでは事足りず、二人の喧嘩はヒートアップしていく。


(マジで……これどうするよ?)


魔法詠唱まで聞こえてくる中。

グラガは尻餅をつき、黙って収まるのを見守るしかなかった──。




< 70 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop