クリムゾンフレイヤ
えらく気配りが利くじゃないか?……とか思いながら、グラガは出されたチキンを頬張る。
が、スカーレットが考えていたことは違い……
(少し黙っててねー)
食べ物を与えて黙らせるスカーレットの策にはまり、グラガは夢中で食べまくる。
「だって五年ぶりよ? 連絡もしないから素直に心配してたんだから」
と、やはり麦酒を飲みながらフレイヤは言う。
が、何だか嘘臭く聞こえるのは気のせいだろうか?
スカーレットはフォークでサラダのプチトマトを突き刺し、溜め息をついた。
「……あのさ。もしかしてアンタ一回魔王に遭ったんじゃないの?」
スカーレットの突然な問いに、フレイヤは一瞬身体を震わせた。
「ど、どうして貴女はそう思うのかしら?」
微妙に話を反らしたがっている彼女に、スカーレットは確信した。
「なーるほどねぇ〜」
「な、何よ?」
不気味に笑いだすスカーレットに、フレイヤは酔いを一気に醒ました。
「アンタ魔王に負けたんでしょ〜? で、このままじゃ報酬が貰えないから、アタシの所に来たと」
頷きながらプチトマトを口に入れるスカーレットの推理に、フレイヤは黙り込む。
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