クリムゾンフレイヤ
だが、次の彼女の反応は、スカーレットには意外なものだった。
「……スカーレット、貴女はバカなのかしら?」
「…………はぃ?」
突然のバカ呼ばわりに、さすがの少女も対応が仕切れず、疑問で返してしまった。
だが、フレイヤは続ける。
「だってそうでしょう? この私が負けるなんてことを、貴女は想像出来るんだから。魔導Lv5の私が」
自信満々に立ち上がり、腰に手を当てて髪を払うフレイヤ。
さすがのグラガも、横で感心してしまった。
「魔導Lv5って、一番ランクが上じゃねぇか! スゲェな」
「バカねぇ。フレイヤが言う魔導Lv5って言うのは、感覚がズレてるのよ」
グラガに対し、スカーレットがバカ呼ばわりした後、手を横に振った。
「フレイヤは、まともに講義を受けるのが面倒で、一気に上級魔術だけを取得したのよ」
頬杖をつき、細い目で立っているフレイヤを一瞥すると、スカーレットは続けた。
「つまり、初級から中級と、補助魔術が全く使えないのよ。ホントに上級だけ」
「何よ? 上級魔術で一気に敵を打ち払えば、それだけのことでしょう?」
スカーレットの呆れも通り越した所で、フレイヤが肩を竦めて席に座った。
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