クリムゾンフレイヤ
炎爆により男は焦げ焦げに焼け、あっさりナイフを落として共に倒れた。
「あとは? 掛かってくるの? 来ないなら目障りだからすぐに、今すぐに消えなさい」
何処に潜んでいるのか分からない相手に向かって、スカーレットは大きく忠告&帰れ宣言をして腕を組む。
あと五人だとしても、このままウダウダと粘られたらいずれ夜を迎える。
冒険者にとって暗闇は、やはり盗賊の方が一枚上手になってしまう。
そうなると手が付けられない。
「……あぁんもう!」
だが、相手もそれを狙ってるのか、剥き出しの殺意は一向に消えてくれず、スカーレットは苛立った。
魔法を適当にぶつけてもいいが、ここは森にも近い林だ。
近くには町もある。
(山火事でも起こしたらそれこそ一大事だし……)
別段、ここが火事になろうが町がどうなろうと、自分に被害がないなら構わない。
が、ここで森火事でも起こればもちろん逃げ切れる可能性は低い。
「どうしたもんか…………あっ、そっか」
悩みに悩んで、ふと頭を過ったいいアイデアに、我ながら賢いと思った。
そうだ。
最初からそうしておけばよかったんだと、今さらながら思う。
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