クリムゾンフレイヤ

炎爆により男は焦げ焦げに焼け、あっさりナイフを落として共に倒れた。


「あとは? 掛かってくるの? 来ないなら目障りだからすぐに、今すぐに消えなさい」


何処に潜んでいるのか分からない相手に向かって、スカーレットは大きく忠告&帰れ宣言をして腕を組む。

あと五人だとしても、このままウダウダと粘られたらいずれ夜を迎える。

冒険者にとって暗闇は、やはり盗賊の方が一枚上手になってしまう。

そうなると手が付けられない。


「……あぁんもう!」


だが、相手もそれを狙ってるのか、剥き出しの殺意は一向に消えてくれず、スカーレットは苛立った。

魔法を適当にぶつけてもいいが、ここは森にも近い林だ。

近くには町もある。


(山火事でも起こしたらそれこそ一大事だし……)


別段、ここが火事になろうが町がどうなろうと、自分に被害がないなら構わない。

が、ここで森火事でも起こればもちろん逃げ切れる可能性は低い。


「どうしたもんか…………あっ、そっか」


悩みに悩んで、ふと頭を過ったいいアイデアに、我ながら賢いと思った。


そうだ。
最初からそうしておけばよかったんだと、今さらながら思う。




< 8 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop