愛の果実-エリートなあなた短編集-
当然、後輩ちゃんたちは私にヘルプを求めてくる。だが、私がすこーし叱咤すれば泣く始末。
「わたしっ、英語苦手だって、……パパに言ってあるしっ」
おいおい、最終的にはパパを悪者にして逃げるのか?……逃げ脚だけは早いな。
SJ社は本社がアメリカにある外資だっての。誰だよ、破壊力抜群なのを秘書課へ投入したアホは……?
もちろん黙っている私じゃない。会議終わりに捕まえた、人事部の課長を質したところ。
本人が公言する縁故採用のうえ、彼女自身が秘書課への配属を希望したとの答えが返って来た。
「そうですか、ありがとうございました」
笑いながらお礼を言ったのだが。気の弱い課長はまるでブリザードに見舞われたように、顔をひきつらせて逃げて行った。
いけない、元ヤンの名残が苛立った時に出るのよね。――お陰であだ名はルック・キラーだ。