春•夏•秋•冬の彼等
3年越しの思い
この地球の、この日本に生まれたのは偶然だった。

この惑星で君に出会えたのは何十億分の1の確率の偶然だった。


その中から、君を選んだ。



「…まぁたやってる。夏実」


昼休み、ジュースを買いに行くと言って出かけたはずの夏実が外で誰かとケンカをしている。

なかなか帰ってこない夏実のせいで秋人はまた寝ているし麻冬は携帯をイジっている。


春樹はボーッと外を眺めていて偶然夏実を見つけた。


「なに、ケンカ?」


春樹の独り言に麻冬が問いかけた。
春樹は
「あぁうん、みたい」とヘラッと笑って答えた。


そして窓から身を乗り出して、下を見下ろしながら大きな声で言った。


「夏実ー!遊んでないではやくはやく〜!」


下から
「ごめーん!今行くっ」と威勢の良い夏実の声がした。

言葉通り夏実は、途端にケンカを止めて走って校舎に入った。


「…なんで夏実?」
「え?」
「なんで夏実が好きなの?」


麻冬は春樹にそう尋ねた瞬間しまったというような顔をした。

春樹に自分がその事実を知っていることがバレるからではなく、秋人の前でそんなことを聞いてしまったことに後ろめたさを感じているのだ。


「えっ!なんで知ってるの?!」


バレていないと思っていた春樹はかなりの勢いで驚いた。

そんな春樹にさっきまで寝ていたはずの秋人が言った。


「見てりゃ分かるよ」
「そっか〜…」


春樹は照れ臭いような、気まずいような顔をした。

そしてチロッと秋人を見て何か言いたそうな顔をした。


「夏実…助けてくれたんだ」


春樹はボソッと呟いた。
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