蝉とブルー







「………ちょっと京子!
帰ってくるのはいいけど、なんか一言連絡しなさいよ」




「んー」




「ねーお姉ちゃん。お土産は?東京ばなな、買ってきてくれた?」





「んー」







扇風機にあたったまま動かない京子を見て、母の順子は大げさにため息をこぼした。






「お母さん、イライラしないであげてよ
お姉ちゃんいまナイーブなんだよ。
きっと拓郎さんに捨てられたんだ」





「ああ、そうなの?そうなの京子」






返事をする気力もなく、黙っているわたしを見て、「ほうら」と妹の明子は嫌味ったらしく言う





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