蝉とブルー






「ほら、掃除機かけちゃうから、二人ともどいてどいて
明子ははやく塾行ってきなさい」






「はーい。いってきまーす」





リビングを追い出されたわたしは、正月ぶりに自分の部屋に入る。



順子が掃除をしているお陰で、部屋はホコリ一つ溜まっていないのだから、感心すらしてしまう。






ベッドにごろんと横になり、エアコンのリモコンを手探りで探し当て、スイッチを押すが、エアコンはパスンパスン、と、
嫌な音を立て、起動をやめてしまう。





「うっそ、壊れてんの」





そういえば、母がそんなようなことを言ってたっけ。



わたしはエアコンを諦め、窓を大きく開ける。




その瞬間、五月蝿いくらいに鳴き叫ぶ蝉の声が、耳に飛び込んできた。





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