蝉とブルー
目が覚めて、懐かしい天井がゆっくり視界に広がったとき、わたしは沢山の寝汗をかいていた。
ひどく懐かしい夢を見た。
このベッドにまだ拓郎のニオイが染み付いていたのだろうか
夢の中の三年七組の教室は、無垢なオレンジに包まれていて、
京子は、不意に、とめどない衝動に襲われた。
あの景色の中に、何か忘れ物をした気がした。
なぜだろう
自分にも分からない
その衝動のまま、京子は自転車に跨った。
息が苦しい
急がなくてはならなかった
もうすぐ、日が沈んでしまう