夏の月夜と狐のいろ。



―コン、コンッ



シアンはゆっくりと小屋の扉をノックした。

クロの言ったとおり小屋には明かりが点いていて、誰かが居る様子だ。


ノックしてしばらくすると、ドアがゆっくりと開いた。



「・・・誰だ?」



中から聞こえてきたのは、そんな低い声。

そして扉からその人物が姿を現した。



銀色の長い髪。漆黒の瞳にそれをふちどる銀色の長いまつげ。
幻想的で、美しい青年がそこに居た。



シアンとクロはしばし唖然とその姿を見ていたが、その人が不審そうな顔をしてはっと我に返った。



「た、助けてください!友達がけがをしてるんです!」


シアンがそういってノエルを見えるようにするとその人はノエルの怪我を覗き込んだ。


そして、小さく頷く。



「・・・入れ。治療をしてやる」
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