夏の月夜と狐のいろ。
リリィはシアンの心のささえだ。
シアンが肩に久しぶりに乗っているリリィを撫でていると、ふいにリリィが悲しそうな目でこちらを見つめてきた。
『あの狐たちは・・・』
そう言ってリリィが尻尾で指すほうを見ると、木の傍に横たわらせていた母狐たちの亡骸が目に入った。
シアンもトーンを落として答える。
「うん・・・死んでたわ。きっと子供たちを守ろうとして」
シアンは再び子狐たちを抱きかかえる。
横でノエルもそっと母狐を抱きかかえて悲しそうな顔をした。
埋葬してあげなきゃ・・・。
『燃えてなくなっているかもしれませんが、代々先祖の狐たちが眠っている墓場に埋めてあげましょう、シアン様』
リリィは悲しみににごった瞳をこちらに向けながら、そう言った。