夏の月夜と狐のいろ。
「それはいいな。僕にも何か教えてくれないか?」
さっきまでむすっとしていたクロが会話に興味をしめした。
それを見てリリィは満足げに顎をくいっとあげた。
『生き物にはそれぞれ隠れた力があります。
まずはそれが何かわからなければなりません』
クロは不思議そうに頭をかしげた。
同じようにシアンもノエルも首をかしげる。
千里眼や、尻尾の攻撃は九尾狐という生き物ならみんなできるもの。
じゃあ私の隠し能力はなんなのかな?
「それはどうやったらわかるんだ?僕はこのままじゃラシッドに勝てそうにもないからな。」
クロは不満げにオッドアイを揺らした。
『そのうちわかるものです。ほら、それより町が見えてきましたよ!』
リリィはそう答えると前をみてぴんと耳をたて、そばだてた。
シアンもフードをしっかりとかぶる。
町の中へ入る門はすぐそこだ。