夏の月夜と狐のいろ。
夢から覚めた瞬間、パチパチと何かがはぜる音が
シアンの耳に届いた。
同時に焦げ臭いツンとしたニオイも鼻をつく。
シアンは倒れた場所でそのまま横たわっていたらしく
状況がまったく掴めなかった。
すぐに立ち上がり、ニオイのする方へ向かう。
嫌な予感は、していた。
煤のまじった黒い煙が森の中心からあがっていて、
赤い何かが見えた。
信じたくない。見たくない…!
けれどその光景は無惨にもシアンの目の前に広がった。
長年、自分たちが暮らしてきた森が燃えていたー…