夏の月夜と狐のいろ。

夢から覚めた瞬間、パチパチと何かがはぜる音が
シアンの耳に届いた。


同時に焦げ臭いツンとしたニオイも鼻をつく。


シアンは倒れた場所でそのまま横たわっていたらしく
状況がまったく掴めなかった。




すぐに立ち上がり、ニオイのする方へ向かう。



嫌な予感は、していた。




煤のまじった黒い煙が森の中心からあがっていて、
赤い何かが見えた。




信じたくない。見たくない…!




けれどその光景は無惨にもシアンの目の前に広がった。






長年、自分たちが暮らしてきた森が燃えていたー…

< 25 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop