夏の月夜と狐のいろ。
「こいつは誰だ、シロ?」
少年はシアンから目を離さずにきく。
シロは淡々とシアンを紹介した。
「この子はシアンです。
ご主人の御用で今日からここに住みます。」
シロがそういうと、少年は嫌そうに目をほそめてシアンから目をそらした。
シロはそんな少年から振り返りシアンのほうを再び向いた。
「この子はクロウです。クロとよんであげてください。」
シロが紹介するとクロは唸るように低い声で言う。
「僕のことはいい。勝手に紹介するな」
クロは不機嫌のようだ。
赤と青のオッドアイがいらだちに満ちている。
シアンはその赤い瞳にすこしみをすくめた。
ここの人はみんな、赤い瞳をしていて少し怖かった。