夏の月夜と狐のいろ。
「クロ?またお前か?
シロもお前も失敗作だが・・・
お前は改ざんにも失敗して俺に刃向かう・・・とんだ失敗作だな。」
ラシッドが、低い声で答えた。
その瞬間、クロがラシッドにつかみかかった。
「失敗作だと!?お前は何を言ってるんだ!
僕たちを何だと思ってるんだ!!シロを・・・シロを返せ!」
クロはラシッドに殴りかかった。
その手の爪は、人間のものとは思えないくらいに尖っている。
そして、視界に入ってきたクロの見た目は、人間ではなかった。
するどい牙が光り、顔が狼のように変形していて
その眼光は人間の姿をしていたときよりも鋭く、赤い。
「ガアアアア!!」
クロはもう一声唸ると、ラシッドの腕に噛み付いた。
ラシッドは、苦痛に顔を一瞬歪ませる。
だが、すぐににやりと笑った。
そして、叫んだ。
「シロ!!こいつをどかせ!!」