オレンジどうろ




***


ついに、この日が来た。



「絶対勝つぞー!」

「「「おおぉぉぉおーっっ!」」」


体育祭!


「スミレ!スミレ、最初の方の100メートル走出るんだよね?」

「もちろん!彩ちゃん応援してよね!」


うん、と首を縦に振る彩ちゃんを撫で、私は学級委員の持ち場に着いた。


私が出る競技は、100メートル走、選抜リレー、パン食い競争。

本当はパン食い競争だけでいいんだけどね。



私は委員会ということで応援席でなく、係りの仕事に没頭中。

と言っても徒競走で反則がないかコーナーで立ってるだけ。


今は1-Aと2-Aと3-Aの男子が150メートル走を走っている。

次は順番的に私のクラスかな、と思いスタンバイ中のスタート地点に目線を向けた。


すると、1-Bの走る人と目が合った。

ぴょんぴょん跳ねながら手を降っている。多分私に向かって。

気付いてないと思ったのかさらに大きく手を振ってくる。

あぁ、バカだ。

尻尾が生えて見える。

後ろにいた女の先輩が平田くんを見てイケメンなどとキャッキャ、と騒いでいる。

「あの子あたしらに振ってたりしてぇ!」


ないないない!
夢を見ない方がいいよ先輩。

あれは私に振ってるんだから。目を逸らしたら平田くんすごくショボンってなったもん。


私に手を振ってくれてたのよ。



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