オレンジどうろ
高校入って初めて会ったという2人。
スミレは嘘つけないタイプだから、会ったことないというのは本当。
だけど、なんなの?
平田がスミレを見てるときの顔が懐かしい、といわんばかりの表情で、愛しい、といわんばかりの表情をする。
平田ユウガ。
本当に変わり者だ。
***
1レース目に少しトラブルが起きたらしく、やっと私の番だ。
先生がピストルを構え、私は耳と足に全ての集中力を巡らせた。
パァンッ!
とピストルの音と同時に私はスタートする。
速く、速く、速く。
鳥のように優雅に走れ。
小さい頃誰かに言われたような言葉。
それが現実か夢かなんて私は知らない。
とにかくゴールを目指して走った。
パァンッ!
スタートと同じピストルの音が、私のゴールと共に鳴った。
私に続いて少し経ってから3年生がゴールした。
私がこんなに走れると思っていなかったのか、応援席の全学年が驚いた顔をしていた。