オレンジどうろ




頭の中で幾度となく響く声。

「すーちゃん、今日ね」

「すーちゃんは、ぼくのお嫁さんなの!すーパパには負けないもん!」


私を“すーちゃん”と呼ぶ小さな男の子。

誰だろう。


知っているような気もするが、私にはサッパリ分からなかった。



ピリリリリリリッ!


部屋中に響く私が設定した音、その音で私は目を開けた。

背伸びをして目を覚ます。

私は着ていたパジャマをたたみ、私が通う城下学院の制服に身を包んだ。

シャツはピンク、青、白の三色から選び、女子はリボンとネクタイが選べる。

私は青のシャツとネクタイが大好きだから真っ先にこの学院に決めた。

入学してもうすぐ2週間となるが、まだネクタイを着ける際、入学式当日のようなドキドキ感がある。

そして、オモチャの指輪に細いチェーンを通して首に付けた。
これはお風呂と寝るとき以外肌身離さず身につけている。



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