オレンジどうろ
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引っ越して入った高校には“すーちゃん”のソックリさんがいた。
ソックリさん...松本スミレは“すーちゃん”とは別人らしい。だが、ぱっちり二重で、目元にホクロもある。俺の大好きな“小野スミレ”と瓜二つ。
体育祭のとき、松本スミレの走りを当てたのは偶然で、ただの賭けだった。
その走り方は小野スミレの走り方で、瓜二つの松本スミレもそうかも、と思った。その結果、小野スミレと松本スミレの走り方は一緒だった。
謎が深まるばかりだった。
後夜祭で俺は松本スミレの少し離れた場所にいた。ちらり、松本スミレの方に視線をやった。顔色の悪い松本スミレの横に薄っぺらい笑顔の男がいた。
席を外した松本スミレを追うように少し経ってから男も笑顔のまま松本スミレが向かった方向に行った。
なぜ、別人のすーちゃんが気になるかは分からない。
でも、唯一分かることは、あの子が“すーちゃん”であることを俺は願っているんだ。
なかなか帰って来ない松本スミレが俺は心配になった。
松本スミレの後を追うように去った男。
嫌な予感しか今の俺にはなかった。