オレンジどうろ





根の優しさは同じなのか。


きっとすーちゃんのお父さんが言いたいことは『もし、スミレにパニック障害の症状が出たら側にいてやってくれ』だよね。

だから先に俺は言った。

「学院生活内でのスミレさんのことは、俺に任せて下さい」

すると満足、とでもいうようにニンマリ、とすーちゃんのお父さんは笑った。

「今日はありがとう、えっと...」

「ユウガです。平田ユウガ」

「...ユウガくんか!今日は大変だったろ、お家帰ってゆっくり休むといいよ」


少しの間が気になったが、取りあえず素直にはい、と返事をして帰った。


「あの子が“あの”ユウガくんか...」


そんなことを俺の後ろ姿を見ながら、すーちゃんのお父さんが言っていたことなど俺は知るよちもなかった。



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