オレンジどうろ
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「...で、ここが教員室。この学校は私立なだけあって敷地がバカみたいに広いでしょ?生徒も多いし、先生もそれにともなってめっちゃ多いの。だから教員室だってこの階全部が教員室だからねっ」
へぇー、と目を輝かせる平田くんはやっぱり犬にしか見えない。
「これで全部!じゃあ私帰るから速やかに下校すること、じゃあね!」
私が方向を変えて正門に向かう。するとすーちゃん!と大きな声が聞こえた。
振り返ってみると、両手を上に上げて手を...というか腕を振ってる平田くんがいた。
「案内してくれてありがとーねっ!」
あぁ、眩しいな。
夕日を背に腕を振り続ける平田くんが眩しい。
私は小さく手を振り、我が家を目指し歩いた。
家に着く前にある少し長い一方通行の道路。
夕方のこの道が好きだ。
後ろから当たる暖かくなるようなオレンジ色の光に包まれて家に向かう。
何かが足りない。
足りないものなんてないのに、なぜ足りないと思うんだろう。