小さな夏は消えたんだ

 ふらつく足をなんとか動かし、タンスを開け、真っ白で少し甘い香りのする半袖Tシャツを引っ張り出し階段をかけ降りながら無理やり頭に被せる

「お母さーんっ。マナの短パンどこー!?」

「そんなの知らないよ! 早く準備して学校行きなー」

「えー……わかってるって」

 食パンの香ばしい香りと蜂蜜の甘ったるい香りの漂う部屋をひとり歩き回る

「あ、短パン発見したであります」

 鼻唄混じりにズボンをはき、落ちていた靴下を拾う。

 バランスを崩しピョンピョン跳ねながら足首まで無理やり引っ張りあげて
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