BLOOD・CONTRACT
結局放課後は、理科準備室に行くふりをして奏都は帰った。
家に着くなりリビングのソファに倒れ込む。
(初日から疲れたな…)
時計を見れば17時を回っている。
(今夜何食べよう…)
ガチャ
すると玄関の方から音がして足音がリビングに近づいてくる。
「おっ帰ってたのか」
『おかえり磨樹(マキ)』
足音の主はこの家の住人である奏都の兄である浅宮磨樹。長身で細身ながらもどこか力強くて男らしい彼である。
黒髪が白い肌を引き立たせている。
「学校どうだった?」
『んーなんか…嫌な奴に目つけられたみたい…』
苦笑いで奏都が答えると磨樹は隣に座ってくる。
「気をつけろよ…」
磨樹は奏都の手を強く握りながらそっと顎をつかむ。
「お前は浅宮御供家にとって大切な血だ。もし、あいつら化物にバレることがあったら、俺ら一家…いや、俺ら末裔は終わりだ。」
『わかってる』
「それに…」
磨樹は悲しく俯いた。
「もう俺にはお前しかいない…母上も父上も死んで…お前までいなくなったら俺は狂いそうだ…」
その声は掠れていてどういう心境が伝わってくる。
『大丈夫…私はやれる。母様にも父様にも誓った。絶対にバレたりしない。』
「頼もしい…」
磨樹は奏都の唇をそっと撫で、手を離した。
「替われるものなら替わってやりたい…」
奏都はそっと磨樹の頭を撫でた。