赤いスイートピー
チエミはおしゃべり、特にクラスの子たちがしているような賑やかなおしゃべりが苦手だった。
いつも少し無理して合わせていた。
ヒロユキとは話題が途切れたら、黙っていても気まずくならない。
そんな人に会ったのは初めてだった。
ヒロユキといることが本当に心地がよかった。
チエミとヒロユキは毎日のように学校帰りに寄り道し、小さな公園で楽しいひと時を過ごすようになった。
ヒロユキの話はいつも唐突だった。
ヒロユキはその小さな公園を〈ハッピー公園〉と名付けると言い出した。
「公園って、だいたい名前があるのに、ここにないのは、おかしいじゃん。
小さくたって、一応ブランコとベンチがあるんだから。」
真顔で言い、いきなり自分のスポーツバッグから黒いマーカーペンを取り出した。
「なんでハッピーなの…?」
チエミが言いかけた途端、ヒロユキが
「こっち来いよ!」
チエミの腕を引っ張り、公園の出入り口に立っている石柱の前に立った。
公園は緑に囲まれ、チエミの背より少し高い石柱は木陰に隠れるように立っていた。
チエミが呆気にとられていると、ヒロユキは辺りを見回して、
「チエミちゃん、誰か来たら教えろよ。」
そういうとペンのキャップを取り石柱に素早く〈ハッピー公園〉と大きく書いた。
(ええ!?)
チエミの口は開いたままだ。
「これでよし。ここに来た奴はハッピーになれるの。」
ヒロユキは満足そうに言った。
人に見つかったら怒られるとチエミはハラハラしたが、ヒロユキの笑顔と落書きのいびつな文字を見ているうち、なんだか可笑しくなってきた。
ー男の子ってこんなことするんだー
「すごくハッピーになれそう!」
チエミは思い切り声を立てて笑った。
いつも少し無理して合わせていた。
ヒロユキとは話題が途切れたら、黙っていても気まずくならない。
そんな人に会ったのは初めてだった。
ヒロユキといることが本当に心地がよかった。
チエミとヒロユキは毎日のように学校帰りに寄り道し、小さな公園で楽しいひと時を過ごすようになった。
ヒロユキの話はいつも唐突だった。
ヒロユキはその小さな公園を〈ハッピー公園〉と名付けると言い出した。
「公園って、だいたい名前があるのに、ここにないのは、おかしいじゃん。
小さくたって、一応ブランコとベンチがあるんだから。」
真顔で言い、いきなり自分のスポーツバッグから黒いマーカーペンを取り出した。
「なんでハッピーなの…?」
チエミが言いかけた途端、ヒロユキが
「こっち来いよ!」
チエミの腕を引っ張り、公園の出入り口に立っている石柱の前に立った。
公園は緑に囲まれ、チエミの背より少し高い石柱は木陰に隠れるように立っていた。
チエミが呆気にとられていると、ヒロユキは辺りを見回して、
「チエミちゃん、誰か来たら教えろよ。」
そういうとペンのキャップを取り石柱に素早く〈ハッピー公園〉と大きく書いた。
(ええ!?)
チエミの口は開いたままだ。
「これでよし。ここに来た奴はハッピーになれるの。」
ヒロユキは満足そうに言った。
人に見つかったら怒られるとチエミはハラハラしたが、ヒロユキの笑顔と落書きのいびつな文字を見ているうち、なんだか可笑しくなってきた。
ー男の子ってこんなことするんだー
「すごくハッピーになれそう!」
チエミは思い切り声を立てて笑った。