君と僕、あなたとわたし
一輪の花
「まぁまぁ!いっくん、まーくん、いらっしゃい。よく来たね!えらかったでしょう?」
俺のばぁちゃんが笑顔で迎えてくれた。
夏の暑い日。
俺は家族で父方の実家に遊びに帰っていた。
そこは一言で言えば田舎。
田舎と言っても山に囲まれていて、何にもないって程田舎ではない。
「あれっ?逞たちはまだか?」
長距離運転に疲れた親父は家に入って一息つくと、ばぁちゃんに聞いた。
逞とは、俺の叔父さんにあたる。
「えぇ。まだ来とらんよ。」
「そうか。いやぁ、新しい家族を早く見たくてなぁ。」
残念がる親父。
親父だけじゃない。
俺たち一家全員残念に思った。
なんせ、俺と弟の雅人も楽しみにしてたんだから。
また1人、いとこが増えるのを。