君と僕、あなたとわたし
長旅を終え、車から降りるといつものように、じいちゃんとばぁちゃんに迎えられる。
時刻は2時半。
みんなでご飯を食べるまで4時間か…。
「維月。温泉行くか?」
そんなことを考えていると、親父に温泉に誘われる。
「ああ、いいね。行く。」
「そうか。じゃあ、逞おじちゃんも誘ってこい。」
「分かった。」
俺はそう言って、じいちゃん宅の前に建つ家に向かい、インターホンを押そうとした時、誰か女の子が自転車に乗って帰って来た。
「いっくん…?」
俺は一瞬呆然とする。
彼女は、去年の夏より、肌は白くなり、全体的に痩せたけど、女性らしい体つきになり、ますます大人っぽくなっていたから。
「…?いっくん?梓だけど。」
「あぁ、ごめんごめん。一瞬誰かと思って。予想以上で…。」
「予想以上?何が?」
“予想以上に綺麗になってて。”
っなんて言えねぇー!!
うわ、失敗したな。
「いや、去年より白くなって、元の色白に戻ったななんて思って。」
俺は内心焦りながら応える。
「部活引退したからねー、しろくなっちゃった。」
「そっかぁ、あずちゃんも受験生か。」
“そうだよ。今までも塾行ってて。”っと言って梓はくすっと笑う。
「家に何か用があったん?」
「あ、うん。逞おじちゃんを温泉に誘おうと。」
「あ、本当。ちょっと呼んでくるね。」
そう言うと梓は家に入って行った。