猫と宝石トリロジー①サファイアの真実

ー翌日ー


薬局を過ぎてペットショップの前で二人は立ち止まった。

「そんなに緊張しなくても大丈夫だから」

絢士は笑いながら彼女の頬をつまんだ。

「逆の立場になったら同じ事言ってあげる」

口を尖らせて手を払うと、美桜は一層厳しい顔をした。

「あーあ、美人さんが台無し」

「そっちこそ、ニヤけすぎよ」

「そうかなぁ」

いや、自覚は十分している。
今朝目覚めた時から顔も心も緩みっぱなしだと。

瞳が覚めて自分のベッドに美桜がいる。
それがこれほど心を満たしてくれるなんて想像できなかった。

一緒に朝食を食べ彼女の身支度を眺めるのも楽しかった。

一日の始まり、
そして終わりも彼女と共にいたい。

俺は思っていた以上に彼女を愛していたんだな。いや、思っていたのを自覚する前に、口から言葉が出ていったが。

愛してる

うん、間違いない。
俺は美桜を愛してる。
そして、彼女も俺を愛してる。

ニコニコ笑う俺を睨んで、美桜は背中を押してきた。

「もう!いいからっ」

「わかった、わかった」

ちゅっと軽く唇を重ねて、赤くなる彼女に笑ってから、絢士は割烹みゆきの入り口を叩いた。

美桜には来る途中みゆきさんの仕事のことは話してある。
ついでに母さんと呼ぶ事もあるが、基本みゆきさんと呼んでいる事も話した。

なぜそうなのかは、このあと話すつもりだ


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