猫と宝石トリロジー①サファイアの真実

「これは……」

美桜は絵の前に膝まずく。

間違いない、これはあやのさんの絵だわ。

絵筆のタッチや微妙な影の入れ方、光る何かを感じさせる色合い。そして、この猫を愛していた人にしか描けない表情それにこの模様

なんて温かい絵なのかしら……
お店にあるのとはまた違う、豊かな喜びに溢れている。

これをおじ様が見たらきっと喜ぶわ
……ううん、悲しむかも知れない

でもどうして絢士さんはこれを?

いいえ、これだけじゃないわ。

あそこのスケッチ画も彼女の作品に間違いない
どちらも本物だわ。

「猫の絵は四部作らしい」

「えっ?!」

自分の知らない情報に、美桜は驚きよりも不信感を募らせた。

「持っているのはこれだけじゃないわね?」

昔、他にもあやのさんの絵はないのか?と聞いた時、おじ様は辛そうにあやのさんはもうこの世にいないと言っていた。

しかも、おじ様も他に絵がないかと探した事があるけれど、国内の画廊には一枚も見つからなかったと寂しそうに笑ってた。

おじ様の力をもってしても見つけられなかった彼女の作品がどうしてここに?

もちろん、誰かが模倣したなど疑ってない。

それじゃあどうして……


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