猫と宝石トリロジー①サファイアの真実

「ごめん、大きい声出して」

俺は何をムキになってるんだよ
情けない……

だが、綾乃は自分の母親だと告白したら
美桜はどうするのかがわからない

一体、何を隠してる?

「ううん、私がいけないのだから。今すぐには言えないけれどちゃんとした事がわかったら話すから」

怯えたように早口の彼女にイラっとする

「いま憶測でいいから話せよ。あの猫の絵と画家が美桜とどう関係してるって言うんだ?一体何がある?」

「それは……」

本当に頑固だな
でもそれが俺の美桜だ

深いため息が絢士の口から溢れた。

「ちょっと冷静になろっか」

愛してる女を困らせても仕方ない

「え?」

「どうしてそこまで頑なになるのかわからないけど、それなら気の済むまでやればいいよ」

ここは、物臭兄貴の忠告をありがたく聞こう

―『頑固な妹は自分が納得するまで止めないし、その辺の女と違って口も軽くない』

―『絢士を信用してないとかじゃない。それがあいつの性格だ』

何が知りたいのか知らないけど、
美桜の気の済むまでとことん調べたらいい



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