猫と宝石トリロジー①サファイアの真実
「昨日絢士さんに絵を見せてもらいました。どうしてあやのさんの作品をいくつも持っていらっしゃるんですか?」
「絢士は何も言ってなかった?」
「はい…いえ、絢士さんには聞いてません」
「なんで?」
「それは……私が自分の考えに慌てて。実は私、お母様があやのさんだと思って」
「私が綾乃?あははっ!それ傑作!」
「それじゃあ、やっぱり違うんですよね」
「もちろん、別人。私の描く絵を見たらわかるわよ、小学生並みだから」
笑って否定されて、わかっていたが昨日の自分の行動が恥ずかしくなった。
「ねえ?美桜ちゃんは何であの猫の絵を持っているの?」
「それは……実際には私のものではなくてお店のものなんです。私があの絵が好きで貸して頂いているっていうか……」
「そう」
納得したようにうなずいてから、彼女は急に話題を変えた。
「美桜ちゃん、ご両親は?」
「え?」
不意討ちだった質問に美桜は戸惑った。
「お父様は何をしてる人?」
そっか。
母親として息子の彼女への質問があるだろうから、
お互いに聞きながらって事ね。
そう納得して美桜はふっと息をついた。
この話題はいつだって覚悟がいる。