猫と宝石トリロジー①サファイアの真実
「どうしてあの猫の絵の事で、お母さんが関係しているの?お母さんとあやのさんの間に何かあったか知ってる?」
「いや、俺は何も」
「陽人がね、お母さんはあやのさんが亡くなった事を知っていたって」
「そりゃ、東堂家とは親しいし?」
「ええ、でもそうじゃなくてね……」
美桜は昨日、陽人から聞いた話をした。
「確かに母さんはあの猫の絵…あやのさんの絵が好きだったのは覚えてる。陽人のやつがプレゼントしようとしてたなんて当時気づかなかったけどな」
「私も」
「俺だって、あの絵の作者と東堂のおじさまに何かあるのは気づいていた。だからこそ、興味があっても何も聞いてはいけないって暗黙のルールがあっただろ?」
「うん。って、蓮も興味があったの?!」
「そりゃあ、あのおじさまだぞ?先代と喧嘩して勘当同然で出ていったきり、会社が傾きかけるまで世界中を放浪してなんの連絡もなかった人が、呼び戻されてたった3ヶ月で、立て直しの目処を立てたって言う凄い人なんだぞ」
「そうなの?!」
「なんだ、知らなかったのか?」
「初めて聞いたわ」
「まあ美桜が生まれる前の話だかな、俺だって、父さんが武勇伝のように話しておじさまをからかっているのを聞いただけだがな」
「ふうーん」
「あやのさんはそのおじさまの想い人だったんだろ?」
「たぶん……」
「これからどうするつもりだ?」
「志津果さんに会ってみようと思うの」
そう、聞きたいこと探している答えはきっと志津果さんが知っている。