猫と宝石トリロジー①サファイアの真実
おば様の告白①
ー二日後、ハワイー
美桜はタクシーを降りると、心地よい海風を頬に感じて大きく伸びをした。
サングラスを上げて通りに並ぶヤシの木と明るい日差しに瞳を細める。
空港に降り立った時は幸せそうなカップルばかりの観光客に少し毒ずいたけど、やっぱりこの島はリラックスできる。
荷物を下ろしてもらって、お礼を言ってチップを渡すと、美桜は別の意味の気合いを入れた。
「いざ!」
外観がピンクのロマンティックな老舗ホテルは、志津果さんのハワイの定宿。
実家が輸入食品を扱う大手食品メーカーで、自らは都内にセレクトショップを数店舗経営する志津果さんは、息抜きに休みをとると必ずここへ来る。
昔は美桜も日向や家族とよく来ていた。
「やっぱり素敵ね」
このホテルは内装も大好きだ。
クラシカルで格式と伝統がありそれでいて変わらぬ華やかさは心踊らされる。
「あら、やだ!もしかして美桜ちゃん?!」
ホテルにいるといいのだけれど、と連絡もせずに来た自分を反省する必要はなかったみたいだ。