猫と宝石トリロジー①サファイアの真実

このまま続けるべきか悩む美桜に、志津果はまた話を続けた。

「最初は婚約者がいるって伝えるだけのつもりだったんだけれど、彼女は東堂が何者かも彼女の為に必死になっている事も何も知らずにいる事に腹が立って……
それでつい『親友の為に身を引いて欲しい、彼の前からいなくなって欲しい』そう言ってしまったの。まさか本気にするなんて思わなかったのに、彼女ったらすぐに
『わかりました』って」

「えっ?!」

「その態度に更に腹が立ってしまったの。
だってそうでしょ?そんなにあっさり身が引けるなら、私に彼を返してよって思ったら、もう自分を止められなかった」

綾乃さんには申し訳ないけれど、
私は志津果さんを責められない。

「最後にね、一つだけお願いがあるって、あの猫の絵を東堂に渡して欲しいって頼まれたの。でもそうすると私が会いに行った事を知られてしまうでしょう?狡い私は最後まで椿妃の振りをして、その絵を買ったの。お金なんて要らないって言う彼女に強引に小切手を押し付けて」

「そんなっ!」

もしかして、だから絢士さんのお母様は
私のお母さんを……

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