猫と宝石トリロジー①サファイアの真実

「やめてくれ!それまで三年間の俺たちに偽りはなかったはずだ!少なくとも俺は本当に君に恋していた」

「どうして……なぜ今になってそんな事を言うの」

「それは伯母さまがチャンスをくれたんだ。いつまでも君が独り者でいるのは、俺を忘れてないからだって」

「違うわ、あなたのことなんてもう…」

「美桜、愛してる!」

「嘘よ」

「嘘じゃない!この一年君を忘れた事はなかった」

「やめて……」

美桜は激しく首を振った。

「今さら遅いわ」

「わかってる…、本当は言うつもりはなかった」

どうして今なの?

憎んで三年の思い出を全部を否定して
やっと前に進めたのにどうして……

「こんな馬鹿げた話、始めから信じてないよ。
もちろん、やり直せるとも思ってない。両親にはちゃんとその事も含めて話してあるから安心しろ」

優しく微笑まれて、ついに心が悲鳴をあげた

どこでボタンをかけ違えてしまったの?

お兄様から話を聞いた時も、彼女がやって来た時も

私は口で否定しながら、心の中で『ほらね、やっぱり』って思った。

そんな……

騙されていたんじゃなくて、始めから私はいつかこんな日がくるはずだと思いながら付き合っていたのだと、今気づいた。

彼の為ならと服装を変え、彼の好きなものを好きになり、行きたくない所へ我慢して行ったのも、

全部心のどこかで、そうすることで本来の自分を否定したかったからだ。

これまでのASO の麻生美桜として見られている自分を変えたかったからだった。

そうよ、最低だ……

騙していたのはむしろ私の方だった……

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