猫と宝石トリロジー①サファイアの真実


「それであの絵の画家、綾乃さんは…って言ったら彼が……」

「なに?」

「うん……それが……」

ここまできて言わないつもりはないけれど、喉の奥に言葉がつかえて中々出てくれない

「「みおっ!」「俺の母親だって!」」

日向につられて大声で叫んだ。

「えっ?!」

「その時はびっくりして、それにもうこれで終わりだって思ったからよく考えなかったんだけど、昨日くらいから冷静にその事を考えたら……すごい答えに辿り着いたの」

早口で一気に言ったのに、言わんとする事を日向は瞬時に理解できた様だ。

「それってまさか……」

日向の顔がフリーズしてる。

「うん」

絢士さんはおじさまの息子だと思う

「やっ……えっ…嘘っ……だって……」

日向の動揺は思っていた以上だった。

16から世界のランウェイを堂々と歩いている彼女は滅多な事で動揺したりしないのに。

「ひな、大丈夫?」

「ううん、待って……心臓が痛い」

胸を軽く叩いて日向は深呼吸した。

「大丈夫?」

美桜はすっかり冷めてしまったミルクティーを渡した。

日向はそれを一気に飲んでしばらく瞳を閉じていたが、やがて覚悟を決めて美桜を見た。

「他に根拠は?あるんでしょう?」

「でも……」

そこまで動揺している親友に続けていいものか、美桜は躊躇う。

「私は大丈夫だから、ね、言ってみて」

うなずく日向の瞳は真剣だ。

美桜は頷き返した。

そうだよね、
逆の立場だったら私も聞きたいもの。


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